「ムダ・ムラ・ムリの排除」を意味する「ダラリの法則」が製造現場の改善原則として唱えられて半世紀以上が経つ。トヨタ生産方式に代表されるこの理念は国内外へ波及したが、木造住宅の生産現場にはいまだ多くの「ムダ」が残されている。
この課題に対し、情報連携の重要性を指摘するのが野原グループ住環境カンパニー*1)の尾野幸一氏*2)だ。同氏が挙げる現場の「ムラ」の一つが、担当者の熟練度で数量算出の結果が変わる「積算のムラ」。もう一つが、大工職の技能や経験差から生じる「施工のムラ」である。これでは材料の過不足が生じた際、原因が積算と施工のどちらにあるのかさえ判然としない。
同社は現在、意匠図から石膏ボードや断熱材の割付図と数量を算出し、建材とともに現場へ提供している。さらに目指すのは、現場で機能する詳細な施工図を作成し、建材のプレカット・プレファブ化へつなげる仕組みだ。施工図が監督と大工の共通言語となれば、施工品質の均一化に直結する。将来的には非技能工や外国人材が短期間で施工を担える環境づくりも視野に入れる。
しかし、その実現には信頼できるも構造情報が不可欠だ。現状は意匠設計、構造設計、プレカット、建材割付と工程が進むにつれ、前工程の情報が十分に引き継がれず、再入力や再トレースが繰り返されている。「後工程になるほど作業が増え、時間の猶予はなくなる」のが実情だ。
ここで期待されるのがCEDXMによるデータ連携だが、共通フォーマットの存在だけでは完結しない。外注工程も含めた生産プロセス全体を横断的に管理する主体の関与と、評議会による積極的な働きかけが不可欠だという。
川上で生成された情報を川下の施工・管理段階まで一貫して活用*3)する。施工現場における「二つのムラ」の解消は、木造建築生産全体における情報連携のあり方を改めて問い直している。
*1)野原グループ株式会社 住環境カンパニー:創業1598年、設立1947年、本社・東京都新宿区。2023年の組織再編により住環境カンパニー発足。住宅資材・設備機器等の販売や、建設DX事業「BuildApp」を展開。当評議会会員。https://jukankyo.nohara-inc.co.jp/
*2)野原グループ株式会社 BuildApp事業統括本部 住環境カンパニー カンパニー役員 兼)機能開発本部 本部長
*3)前工程の情報を活用した「生産プロセス合理化へのCEDXM活用」(2026年総会・基調パネルセッション配布資料「CEDXM活用による施工課題への取り組み」より)
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